仕事幸福真理―成功と幸福の秘密を知ったアイドル

真理―成功と幸福の秘密を知ったアイドル 第17話

 

 *

 どこまでも続くように見える真っ白な廊下を歩きながら、真理は相沢から聞いた話が信じられないでいた。

 仮想現実空間では時間の流れを早めることができる。16歳の自分を指導していたとき、相沢が時間を経過させるのを見ていたが、何十年という時間を経過させられるとは思ってもみなかった。

 相沢が言うには、経過した時の間にどんな出来事が起きているかは分からないという。仮想現実空間が現実とほぼ同じ世界である以上、予想したとおりの未来になるとは限らない。つまり、16歳の真理が、あの後何を経験し、どんな状態になっているかは、相沢にも分からないのだ。

 にもかかわらず、真理が不慮の事故などで亡くなっていなければ、カウンセリングに支障はないという。

 その理由に関して、相沢はこう言った。

 「なぜなら、カウンセリングは、現在の真理の認知の歪みを矯正することを目的としているからです」

 ――正直、真理は相沢が何を言っているのか、はっきりとは理解できなかった。

 しかし、それでも真理は、相沢から指定された部屋――部屋自体が転送装置の役割を果たしていて、仮想現実空間と現実をつないでいる――に向かって足早に進んでいた。

 16歳でアイドルにスカウトされた自分は、その後の50年間、でどんな人生を歩んだのだろうか。

 部屋の前に真理が到着すると、真理を認識した扉は自動で開いた。

 部屋の中の壁も真っ白で、正確な広さは分からない。10畳程度かもしれないし、どこまでも広がっているようにも見えた。

 しかし、真理はそんなことは気にもとめず、10メートルほど先に置かれたテーブルと椅子に向かって進んだ。

 二つある椅子の片方に一人の女性が座っており、真理が近づくと同時に、立ち上がって振り向いた。

 彼女を見た瞬間、真理はその場に固まるように立ち止まった。

 「山P……? 本当に山Pなの?」

 女性は真理を見て目に涙を浮かべた。それから近づいてきて真理に抱きついたが、真理は彼女を抱きしめ返すことができなかった。

 なぜなら――彼女は真理と似ても似つかぬ――二重瞼の美しい顔だったからだ。 


 

 後編に進む前に

 もしあなたが現在、夢の実現に向かって迷いなく進んでいるのなら、これ以降の物語は必要ないかもしれません。

 巻末に記された「真理のメモ ―成功の原理原則」を繰り返し読み、実践に移してください。物語に出てきたように、ここにまとめられているのは先人たちが発見した原理原則です。この内容に従って行動すれば夢をかなえることができるでしょう。

 そして、現在、夢をかなえる過程に苦しみを感じたり、疑問を覚えたりしている人、また、夢とは何か、幸福とは何か、生きるとは何か、これらの「真理」を求める人は、後編にお進みください。


「真理 —成功と幸福の秘密を知ったアイドル」後編は5月21日(月)にスタートします。

 

 

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REVIEWS

評価

11234

良いと思うところ

作品の冒頭に山Pのシーンをもってきた理由がわかりました!

追記
続きも読みますので、大丈夫です!「ブラックガネーシャ」も読みましたし…
ただ私としては「ブラック」よりは「普通のガネーシャ」、「雨の日も晴れ男」のようなどこまでも前向きな感じの方が好きという、好みの問題でしょう。

良くないと思うところ

「自己啓発小説」しかし、小説である以上、登場人物に感情移入し、情を感じて読んでいますので、こういうのは本当にやめてほしい!テンション下がりまくり!チョット辛いこともあったので、余計に下がる…先週で終わりの方が良かった…

追記
「整形」をおぞましく感じてしまうタイプなので、真理ちゃんが整形していたとしたら、嫌いになってしまうかもしれませんし、そんな経緯も見たくはないかも…

まだこれから、未来を輝かせていこうという真理ちゃんの、失敗した老後のようなものは、残酷で見てられません…

かおり
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水野敬也
コメントの評価

 著者からの返事

感想ありがとうございます。
確かに、、、そうなりますよね、、、!現時点では冷や水を浴びせられた感じになると思うのですが、ただこれからの教え、そしてラストがこの作品のコンセプトでもあるので、可能であれば、どうすればはしごを外す感じにならないか、が知りたいです。

2018年5月14日 10時18分 水野敬也
水野敬也
評価

12334

良いと思うところ

オーディションに
落ちてしまった真理ちゃんですが、
そこで諦めずに(一度の失敗で正しい教えを間違ってると思わずに)
すぐに課題を自分で設定して行動に移していくところが本当に素晴らしかったです。

良くないと思うところ

66歳の山ピのどうしようもない
戻れない切なさが苦しかったです。
しかしそれは16歳の真理ちゃんの
未来が輝かしいものだと思っているから…
真理ちゃんの未来がどうなったかは
まだわからないのでなんとも
言えませんが話の急展開に驚いてます( ; ゜Д゜)
正直え、どういうこと…と理解が追い付いていません。
しかしこの先どうなるのかには
非常に興味があるので後半、楽しみにしています。

ぐち
1人がこのコメントに「いいね!」しました
水野敬也
コメントの評価

 著者からの返事

感想ありがとうございます。
この展開、自分的にはいけると思っていたのですが、確かにこれまでの展開のはしごを外す流れなので今後の書き方に注意しなければならないと思っています。僕としてはこの展開こそが本書のコンセプトなので、引き続き読者視点でコメントいただけるとうれしいです。よろしくお願い致します!

2018年5月14日 20時29分 水野敬也
水野敬也
評価

12345

良いと思うところ

第16話まで読んでいて、『なぜ、ガネーシャではなく、山Pなのか?』が、ずっと引っ掛かっていました。(ガネーシャのファンとしては)

今回やっと、このぶっ飛んだ(すみません)設定の必要性が分かったような気がします。

後半、人生の真理へ突っ込んで行く展開を大変楽しみにしています。

良くないと思うところ

・レインボーイズが多過ぎて、一人一人をキチンと区別して読むことが、私には難しかったです。挿絵が入ると違うのかも知れません。

・ここまで、彩花やその取り巻きは完全に悪役ですが、そのままで終わってしまうと、『そういう人たち』への嫌悪感が読後に残るように思います。

ですも
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水野敬也かおり
コメントの評価

 著者からの返事

感想ありがとうございます。
確かに彩花や悪役の扱いは忘れがちになるので意識にとどめておくようにします。
レインボーイズに関してはイラストを入れるのでそれで分かりやすくなる可能性があると思っています。

2018年5月21日 16時57分 水野敬也
水野敬也
評価

12345

良いと思うところ

山P…ちょっとかわいそうですが、、、キラキラとした夢や若さや未来が過ぎ去ったら、やっぱり誰でもこういう心境になるんだろうなぁ、嫉妬や妬みをどうプラスに変えるか、自分がその歳になる時を想像すると…まだまだ学ぶことが沢山だと痛感してます(^^;)

まりちゃん、残念でしたがいい経験としてとらえ、諦めず立ち止まることなく進んでいるのがもちろんいいところです!

良くないと思うところ

山P、自分は愛された、大切にしてもらったという経験、記憶があればそれが糧や自信になる、人生を支えるのではないかと感じます(^-^)

どんどんAI化が進んでも、感情を汲み取れても核となる心、LQ(愛の知能指数)は未知で不変なんじゃないかなぁと。

『愛』ですが、恋愛だけじゃなくて(笑)、家族とか親子とか友情とかもひっくるめてです(*^^*)

あと本当に恐縮ですが、、、
「どんなに成功しても愛がなければ尊敬を得られず、愛すべき人にもなれない」

ジャック・マー(馬雲)会長が4月25日、早稲田大学の大隈記念講堂で満員の約1200人の聴衆を前に、『愛』の大切さを語られました。
起業家を志す若者らを前に、自分の経験を披露し、 早稲田大学に在籍する起業家からの質問にも答えられたなかで、「IQ(知能指数)」「EQ(心の知能指数)」「LQ(愛の知能指数)」で最も大切なものとして「LQ」の愛を上げられいて、、、
成功者のリアルな言葉に感動し、やはりこれが人生において一番の強みかと思ったので、ちょっと聞いて頂きたくて^ ^ズレているかもしれないのでほんと失礼なのですが…。

また今回の話が終わって最後の言葉ですが、虚勢を張っておられず、後半へ自分を追い込まれることをオープンにしてくれているような感じにもとれて…。
ずっと神経高ぶらせながら⁈の大変なご執筆、これからも楽しみにしていますし応援しています(^_-)

Shiho☆
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水野敬也
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 著者からの返事

感想ありがとうございます。
後編と前編の良いバランスを模索していきたいのでまたアドバイスいただけたらうれしいです!

2018年5月21日 16時58分 水野敬也
水野敬也
評価

12345

良いと思うところ

前編と後編の二編に分けて、
おそらく筆者がtamelandでの今作において一番伝えたいことを真の意味で届けるために、大半の時間(story)を前編に費やしたこと。

またそれでいて尚且つ、
そのことを読者に悟られない程の作品のクオリティと面白さを前編で構築したこと。(自分のようなものが偉そうにすいません(__))

良くないと思うところ

これからの物語がどう続くのかは正直自分の想像力なんかでは検討もつきません。too muchです。

そして、これから先の結末━━━真理を望まない(知らずにいれば良かった)という人もきっといると思います。

ふと、水野敬也さんのかつての記事『天才の倒し方』を思い出しました。

しかしながら、それらを含めた「全て」がこの作品の、そしてこの世界の“真理”なのだと思うので、自分はこの先も読ませて頂きます。


━━━22才のこんな拙い感想ですが、どうぞ何とぞ宜しくお願いしますm(__)m

三宅天真
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水野敬也三宅天真
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 著者からの返事

感想ありがとうございます。
後編に関しては、どうしても制作者としての「ドヤ感」が出てしまいそうなのでそこに気を付けながらも、あるべき姿を見つけていけたらと思います。引き続きよろしくお願いします。感想はさかのぼって「〇〇の話に関しては……」といただけてもうれしいです。

2018年5月21日 16時59分 水野敬也
水野敬也
評価

12345

良いと思うところ

そもそも山Pのカウンセリングとして始まったことで、山Pが学んでる立場だったってことすっかり忘れていました!

先週、自分が出したコメントに恥ずかしくなりました。。。山Pが授けてる教えは全部タブレットに書いてあること、――先人たちが発見した原理原則――だったんですね!何回も水野先生が言ってることなのに、ほんと、恥ずかしくなりました。ぜんぜん学んでないってこと、披露してしまいました。。。

《自分の言葉に置き換えて伝えた。そうしなければ、彼女の心に響くことはなかっただろう。》
まさにおっしゃる通りで、もっと成熟した私(66歳)が、もっと若い時の私(11歳くらいがいいなって思ってます)に心に響く言葉でいろいろ説明できたらいいのになって思ってたんですが、それは現実的にはできないので、「先人たちが発見した原理原則を解説する子供向けの本」とか、「先人たちが発見した原理原則を子どもにうまく説明するための育児書」を書いてもらえませんか。あとは、そのようなゲームとか。我が子(今まだ4歳なんですけど)に心に響くように伝えなければ!と思いました。

良くないと思うところ

コメントにお返事をいただいてから、ずっと
「そうだった!山Pが学んでるんだった!」
って思ってたので、今回の展開も心の準備ができてた感じなんですが、前回のコメントへのお返事がなかったら、まさに「冷や水を浴びせられた!」になってたと思います。
山Pのカウンセリングとして始まったのが去年の12月で、その後は真理ちゃんの第一人称で進んで来ていましたし、ここ1ヶ月位、山Pなしで過ごしてきてて、時間が経ちすぎてたんだと思うんです。山Pが第一人称のparagraphが時折混ざったら、はしごをはずす感じにならなかったのかなと思いました。また、水野先生の意向を全く理解してないコメントになってたらすみません。。。知恵を絞り出してコメントしてます。でも、毎週更新される連載じゃなくて、一気に読む読み物だったら違う印象で、ここで衝撃を受ける展開がいいのかもしれません。
後半も楽しみです。

Rie
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水野敬也
コメントの評価

 著者からの返事

感想ありがとうございます。
まさに、「一気に読むもの」として出版するので、タメランド連載は特殊であるという位置づけです。なかなか「一気の読むもの」としての感想も難しいとは思いますが引き続きよろしくお願いします。

2018年5月21日 17時0分 水野敬也
水野敬也
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