仕事幸福真理―成功と幸福の秘密を知ったアイドル

真理―成功と幸福の秘密を知ったアイドル 後編 第3話

 

 (イラスト)

 「これは彼女の原型よ」

 映像の彩花は、そこから徐々に変化していった。

 (イラスト 胎児に変化していく)

 「ある日、彼女には『彩花』という名前が貼りつけられ両親に育てられていく」

 

 (赤ちゃんの彩花)

 「両親の教育は彼女に大きな影響を与えるでしょう」

 (イラスト 彩花が両親に叱られている)

 「引っ越しが多かったことも彼女に影響を与えるはず」

 (イラスト 小学生の彩花が自己紹介をしている)

 「あなたが見ていた彩花は、『彩花』という一人の女性だけど、本当の彼女は、両親や環境、時代、様々な出来事が影響を与えて創り出した存在なの」

 私は、彩花が成長していくプロセスを見ていると、彼女に対する印象が変わっていくのを感じた。

 「さっきあなたは、どうしても許せない人がいるって言ったよね」

 私がうなずくと真理は続けた。

 「その人のことを、今、彩花を見てきたように、想像してみて」

 それは簡単なことではなかった。

 彼女を思い浮かべるだけで怒りの感情が私を支配しようとしてくる。

 それでも私は、目を閉じて、彼女のことを思い浮かべた。彼女がまだ母親のお腹にいる状態から赤ちゃんになり、色々な経験をして大人になっていく過程を想像していく。

 それでも、私は彼女を完全に許すことはできなかった。

 ただ、彼女が私に対してしたことをした理由が――せざるを得なかった理由があったことは想像できた。

 真理は言った。

 「その人も年齢を重ね、いつかは動くことができなくなる……」

 私は彼女が年老いていき、ついには一人で歩けなくなり、ベッドに横たわっている姿を想像した。

 「亡くなった体は焼かれ、灰になる。灰は土になり、植物になっていく……」

 真理の言葉を聞きながら、彼女がいつかは死に、世界の一部として吸収されていく過程を想像した。

 真理は言った。

 「『つながり』を想像することができれば、許すことはできなくても、その人自身がこの世界から生まれ、ときに苦しみながら生き、再び世界の一部に戻っていく存在として尊重することができるはずよ」

 ――真理の言うとおりだった。

 私の怒りの対象であり続けてきた彼女もまた――この世界が何らかの理由で生み出した存在なのだ。

 彼女もまた世界の一部なのだ。

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REVIEWS

評価

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良いと思うところ

最初の方は何回も読んでいるうちに段々理解できてきました。
とくにあきらめと受け入れるが
同じって言うのはなかなか刺さりました(*_*)
私自身いろんなことがあきらめられなくていまだに苦しみ続けています。
でも夢を叶えるのと幸せはまた少し
別のところにあるのが理解できたので
スッキリして良かったです!

良くないと思うところ

最後の方のさとりは何度読んでも
なかなか理解が難しいです(>_<)


ぐち
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水野敬也
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 著者からの返事

感想ありがとうございます!さとりの難しい部分、具体的に教えてもらえると色々直し甲斐があるので、次回のコメントでも良いので教えてもらえるとうれしいです!よろしくお願いします!

2018年6月6日 17時23分 水野敬也
水野敬也
評価

12345

良いと思うところ

五感の欲求、幸せは努力や運で満たすことは出来ても、外気に、世界に触れることがない「心」からの幸せを感じられることは奇跡のように思えてきました。鮮明に感じられることでないというか…。

今心地よさを感じとれているか、、、シンプルな感覚が究極と気づかされて、ホワッと軽くなった気分です(^-^)

「完璧ではない他者を受け入れる……」ことが遥か昔から(夫婦、家族とか、、)『つながり』が自然に出来てきたから繁栄してきたのだなぁ、これらの真理が明るい未来に続くための永久に遺す道しるべのように感じます。

自分なりにですが、感じとれたことが、この回がとても素晴らしく、思い巡らしていきたいと思います^ ^

良くないと思うところ

心から感動したのですけど、楽しむ余裕がありませんでした。。。(^^;;

「心地よさ」を感じることが、自分を支えている、つながりを支えているという実感が出てくればなぁと思います。


Shiho☆
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水野敬也
コメントの評価

 著者からの返事

感想ありがとうございます。確かに後半は理屈だけを説明しているので、もっと自分にとってどうか、という部分に焦点を当ててみたいと思います。引き続きよろしくお願いします!

2018年6月6日 17時24分 水野敬也
水野敬也
評価

12334

良いと思うところ

「気づくことが大切」というのは、「夢をかなえるゾウ」と同じかな?と思いました。

「自然」と「人間」の関係について、この物語に書かれているようなことを、多くの人が感じているでしょう。

「でも止められない」「自分は無力だ」「権力から逃れられない」「なぜなのか?」

そのような自問自答に答えてくれて、多くの方が納得する物語があれば、ヒットするのかな?と思いました。

良くないと思うところ

楽しいから小説を読む、物語を読むのですが、これは全く楽しくない!

かおり
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水野敬也
コメントの評価

 著者からの返事

感想ありがとうございます。確かに後編と前編を読んだうえで楽しめるか、が大事なので色々考えながら直しに入りたいと思います!

2018年6月7日 23時20分 水野敬也
水野敬也
評価

12345

良いと思うところ

私自身、夢に向かってがむしゃらに行動した後、あきらめたことがあります。
でも、その「あきらめ」がなぜかネガティブな感じではなかったので、この気持ちなんだろう・・・と思っていたのですが、作品中の「受け入れる」という言葉で腑に落ちました。
夢に向かって頑張っても全然期待したとおりの結果にならなかったけど、「あきらめ」て、「受け入れる」には、結果がどうであれ、行動するしかないのかもしれません。
「受け入れる」という言葉には、「自分の限界(または自分の役割)を知る」ということも含まれるでしょうか・・・

作品中ではタブレットがいろいろな景色を見せてくれますが、真理と山Pの人生を二つの大きなスクリーンで同時に映画のように見ることができたら、そこには二人?がそれぞれの人生を健気に懸命に生きている姿があるような気がして、とても愛おしいです。

良くないと思うところ

最後の「さとり」の状態、すべては全体の一部であり、つながっているという部分はとても壮大で、哲学的な感じがしました。
次回、どのように話が展開していくのか楽しみです。

さちべえ
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水野敬也
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 著者からの返事

感想ありがとうございます。確かにタブレットから出てくる映像とスクリーンなど厳密にまだ決めれてないのでもう少しはっきりとさせたり、良い演出ができたらと思います。ありがとうございます!

2018年6月7日 23時21分 水野敬也
水野敬也
評価

12345

良いと思うところ

 ここまで一気読みをしたのですが、すごく面白かったです。個人的には前半の勢いを殺しかねないアンチテーゼを後半に持ってきたところに痺れまして、膝と好きボタンを交互にたたきまくったのですが、好みがわかれるかもしれないとも感じました。
 前半の若い真理のアイドルを目指す過程は節々で(嫉妬や面接の雰囲気など)リアルさを感じ、これを現役のアイドルや志望者の感想・意見を取り入れたらもっと生々しさがでるのかな、と思いました。(すでにやっていたらすみません)

良くないと思うところ

 成功と幸福のバランスの問題は非常に難しいものだと思います。僕はリチャード・カールソンの『小さいことにくよくよするな』を読んで、この考えを日常生活に取り入れようと訓練していて、目標はどんな状況でも幸せを感じることですが、どうしても「成功と他者への憧れ」は自然発生的に生まれてしまいます。
 この問題は僕が今最も関心を寄せている分野なので興奮しているのですが、「サクセスストーリー好き」の方は後半でテンションが下がってしまう恐れがありますね…

HANA
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