心理学グチからはじめる認知行動療法

グチからはじめる認知行動療法 第7話


 私は今まで、悪い出来事が起きたとき、諦めと我慢で無理やり自分のなかに収めようとしていた。守口さんに無理しなくてもいいのだと教えてもらってから、気持ちが本当に軽くなり日々を生活していくのがいくらか楽になったのだ。

 カップに口をつけるとじんわりと熱を感じたので、口をすぼめて何度も息を吹きかける。そろそろ飲めそう、と再びカップに口つけてコーヒーを飲んだ。お腹の辺りが温かくなった。

 気がつくと、守口さんがじっと私を見ていた。首をかしげたが、視線はそのままだった。コーヒーの混ぜ方が悪かったのだろうか。何かおかしなことを言っていたのだろうか。コーヒーの飲み方も渦を連想させるような何かをしなければならなかったのだろうか。

 私が考えを巡らせていると、守口さんがにっこりと笑った。

「若月さんのコーヒーを冷まそうとしている姿を見て思い出しました。問題解決技法がうまくいくように、とっておきのおまじないを教えましょう」


   *      *      *      *      *


 数日後、職場はいつもと違う緊張感に包まれていた。事務所ではスーツ姿の男性ふたりが書類をチェックしている。売り場にも同じような男性たちが私やアルバイトのスタッフの動きに目を光らせていた。

 本社の職員が視察に来ているのだ。これは、売り上げが落ちている店舗に対して行うものだった。視察に来た職員は売り場の雰囲気に溶け込みながらも、商品の陳列や私たちの接客態度をひとつも見逃さないという様子で見つめている。

 視察を意識しているせいで、従業員たちは全員動作が固く表情もこわばっている。私も初めての経験なので、いつもよりぎこちない手つきで品物の補充をしていた。


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REVIEWS

評価

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良いと思うところ

おお~、新機軸ですね!面白くなってる…と思います。

店長の不機嫌にも理由があったと…それが次回語られる…最後の切り方も、興味をもたせて上手いですね!

今まで「敵役」だった店長が味方に回り、本社の人間が新たな敵役として登場しました…

「ホームコメディ」ぽい話の方が、私は読み易いですから店長もファミリーの一員のような感じの方がいいですね…(今まではバイトの子たちとみのりちゃんと守口さんと…あまり「ファミリー」とは言えなかった…)

良くないと思うところ

ちょっとだけ長くて、気だるい…(必ず書かなければいけない感じなので、無理やり書いているだけですが…)

かおり
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評価

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良いと思うところ

面白かったです^ ^
余韻みたいなものが残る、店長の本心、本性が気になる終わり方…(^^)

どんな人でも表と裏は必ずあるけれど、(仕事の、自分の)体裁や立場を考えるだけでなくて、素直に行動したい、変われるものならたいのかわりたいと思うはずだから、、、(店長の)このタイミング、良かったです。

佳歩ちゃんが考えてる時とかの間は、いつもらしくて、いじらしいくて愛おしい(o^^o)

佳歩ちゃんと取り巻く人も皆、認知療法が支えとなり自分に葛藤しながら成長していく、この先が楽しみです。

良くないと思うところ

男女ともに同じくらい共感するような話になればさらにいいかなぁと思ってます。(女性目線側のウエイトが高い感じに思えるので)

Shiho☆
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