心理学グチからはじめる認知行動療法

グチからはじめる認知行動療法 第10話

「では、私から。売り場が手薄になって困る」

 私はデメリットのゴミ箱へボールを投げた。

「バイトの数が減るとシフトが組みづらいんだよ」

 店長はデメリットのゴミ箱にボールを投げる。私はふたりが辞めるメリットを考えるとボールを投げた。

「人手不足で本社が正社員を増やしてくれるかもしれない」

 メリットのゴミ箱にボールが勢いよく入った。

「新しいバイトにかわいい子が入るかも」

 店長がボールを投げると外れて床に転がった。私はそばに寄ると拾いあげてメリットのゴミ箱へ入れる。

「何ですか? それ」

「うるさいな。テンションあがるだろ」

 吹き出しながら尋ねると、店長はぶっきらぼうに言った。

「では、私も。新しい従業員にカッコいい人がくるかもしれない」

 メリットのゴミ箱にめがけて投げた。

「新しいアルバイトの面接が面倒くさい」

 たしかにそうだ。店長の言うことに心のなかで同調していると、デメリットのゴミ箱でボールが入る音がした。

「忙しい中での新人教育は大変」

 私も店長もデメリットしか思いつかなくなっている。

「新人教育するために俺らの休みが減らされる」

 そしてまたデメリットがひとつ増えた。

「若月さんメリット、他にないの?」

「もうないですよ。だって私は大山さんと村上くんがいなくなることにデメリットしか感じてないですから。店長はないんですか?」

「……ないな」

 私たちはしばらく黙ったまま、ゴミ箱を見つめていた。

「長く働いてくれた大山さんと村上くんがお店からいなくなるのは、ものすごく寂しいです」

 私は最後のボールを手に取るとデメリットのゴミ箱に投げた。

 ふたりとも何も思いつかなくなったので、メリットとデメリットの数を比較することにした。運動会の玉入れの数を数えるときのようにゴミ箱からボールを取り出して一個、二個、三個……。結果はわかりきっているのだけれど。メリット三個、デメリット六個と倍の量だった。



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REVIEWS

評価

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良いと思うところ

守口さんに対する態度も副作用だったのだなぁと。
佳歩ちゃんのこれから、未知数だけれど周りから信頼される、頼りにされる人になるのだろうな、それで佳歩ちゃんはまた悩む、、、の繰り返しなんだろうなぁと、でも守口さんの教えで今より楽天的に進められると確信が持てました(^-^)

佳歩ちゃんの 〝七転び八起き〝的な感情の日々に勇気づけられました。

一呼吸おいて、まずは自分が冷静になることの大切さ、認知療法、自分にとってじわじわとした原動力になっていくと思います ^ ^

どうもありがとうございました。単行本楽しみにしています ‼︎(*^▽^*)

良くないと思うところ

みのりちゃんの選択肢、、、みのりちゃんの立ち位置ならばそうなのでしょうね。

Shiho☆
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コメントの評価

 著者からの返事

Shiho☆様

コメント嬉しいです!
Shiho☆様のコメントにいつも励まされていました。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
単行本になるように頑張ります。

2018年11月15日 17時6分 花田 麻衣子
花田 麻衣子
評価

11234

良いと思うところ

とにかく書いてる、書けてるところ。

良くないと思うところ

「季語」のようなものが入っていればいいなと思いました。(また従姉妹会か…)とため息が出ますが、そこに行くまで涼しい風が吹いていたり、窓から紅葉が見えたりしたら、以前の従姉妹会との時間の隔たりが感じられるでしょう。

登場人物に好きな人がいません。

ヒロインが店寄りの人間で、共感できません。

まずは従業員の味方をして、店長を辞めさせようとして対決して、そこから店長なりの理由も知り、店長にやる気を出させていくとか、そういう展開ならまだわかりますが…

店長なりの理由はあるのですが、店長のやっていることはただのわがままであり、何の関係もない従業員に、嫌な思いをさせていいとは思いません。

今回ラストということですが、途中で読むのをやめてしまいました。

例えば、「従姉妹会」ならそれをイメージしながら読みたいので、もうちょと、どんな場所でやってるのかとか、天気はどうなのかとかを、書いてほしいです。

かおり
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コメントの評価

 著者からの返事

かおり様

いつも貴重なご意見をくださり本当に有り難いです。
これからも精進いたします。
コメントありがとうございます!

2018年11月15日 17時10分 花田 麻衣子
花田 麻衣子
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