仕事幸福真理―成功と幸福の秘密を知ったアイドル

真理―成功と幸福の秘密を知ったアイドル 第6話-2

 私は声に導かれるまま、ゴールに向かってボールを投げた。

 ボールは緩やかな弧を描き飛んでいったが、ゴールからかなり離れた方に向かってしまった。

 (ああ、やっぱり私がシュートなんて打っちゃだめなんだ……)

 がっくりと肩を落としかけたときだった。

 すごい

 飛んでいたボールを空中でキャッチした人がいた。

 赤音さんだ。

 赤音さんは両手でつかんだボールをそのままゴールに押し込んだ。

 一瞬、会場は静まり返り、少しすると観客席からは大きな歓声があがった。「アリウープだ」という声まで聞こえる。

 赤音さんは私にハイタッチしながら言った。

 「さあ、宴の始まりだぜ」

 ――そして赤音さんの言葉どおり、そこからは完全に私たちチームのペースになった。

 赤音さんは力強い動きとドリブルで何本もシュートを決めた。緑川くんはまるで自分の手足のようにボールを操ってコートの中を縦横無尽に駆け回り、赤音さんや私を使いながら得点を重ねていった。

 そして、前半が終了するころには私たちは12得点をあげ、相手チームより得点を稼いでいた。

 休憩時間に緑川くんの提案で、簡単なサインプレーの練習をした。緑川くんと赤音さんで敵を引きつけてフリーになった私を使う作戦だった。息ぴったりの動きができ、私はますます勝利を確信するようになった。

 こうして良い雰囲気のまま後半戦に突入することになったが、試合再開と同時に相手チームは意外な動きを見せた。

 赤音さんをマークする橘さんは前半と同じだったけど、緑川くんのマークに桃瀬さんと山Pがつくことになったのだ。そして私はノーマークになった。

ボールを持った赤音さんは私に言った。

 「いやあ、ナメられたもんだな」

 私は、自分にパスが回って来ると身構えた。ボールを受け取ったあとどう動くかをシミュレーションした。

 しかし、赤音さんは相手チームに向かって大声で叫んだ。

 「なんで緑川に2人で、俺が1人なんだよ!」

 そして赤音さんは強引なドリブルで橘さんを抜きにかかった。

 しかし、橘さんに弾かれ、ボールはコートの外に出てしまった。

 「くそっ!」

 イラ立った赤音さんはコートの床を蹴飛ばした。

 橘さんは静かに言った。

 「冷静さを欠いた赤音が足を引っ張る。作戦どおりだな」

 「何だと、てめぇ」

 赤音さんは握り拳に力を入れて橘さんに向かって行った。

 「やめんか赤音」

 山Pが間に入って止める。

 「手を出したらその時点で退場じゃ」

 赤音さんは橘さんを睨みつけながら、しぶしぶ元の位置に戻った。

こうして試合は再開されたが、熱くなりすぎている赤音さんはファールを繰り返し、そのたびに橘さんはフリースローを決めていった。

 こうして敵チームは得点を重ね、私たちのチームを引き離していった。

 そして点数は19点に達し、2ポイントシュートを入れられたら負ける状況に追い込まれてしまった。

 (やっぱり赤音さんを選んだのが間違いだったのかな……)

 今さら考えてもしょうがないと分かっていても、そんな思いばかりが強まってしまう。

 動きの乱れている赤音さんの隙をついて、橘さんが山Pにパスを回した。

 ボールを受け取った山Pがドリブルを始める。このまま抜いてくる気だ。

 (この人を止めなきゃ)

 私は思った。

 (この人を止めて勝負に勝たないと、私は一生自分の人生に後悔したまま死んでいくことになるんだ)

 私の目の前で止まった山Pは細かくボールを動かしている。私はボールに意識を集中した。

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REVIEWS

評価

12345

良いと思うところ

水野先生の小説だから、面白くなるというお墨付きです。逆に言えばそう思わない人は読むのを止めてしまうかもしれません。

一週間毎更新になったのもいいと思います。

良くないと思うところ

完成したらきっと面白い作品になるでしょう。

ただ、連載している以上は、新聞小説のように、一話一話をもっと面白く、次への興味をもっと引いた方がいいと思います。

レインボーズが人数多くて、覚え切れない、登場した時イメージできないので面白くなくて、興味が薄れています。

自分で登場人物表を作るなどすればいいのかもしれませんが、読者は努力などせずただ楽しみたいだけなのでは?!!

かおり
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コメントの評価

 著者からの返事

今回のレインボーイズ緑川くんの登場が受け入れられてない感想が多いのですごく大事な指摘だと思っています。
これは本当に恐縮なのですが、全員が出て、前編と後編が終わった時点で、
「レインボーイズとのアトラクションを楽しむ」という軸がアリなのかナシなのか(かつ、ラノベのようにたくさんイラストが出てくるとして)感想頂けたらうれしいです。

2018年3月1日 11時25分 水野敬也
水野敬也
評価

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良いと思うところ

チーム、仕事仲間への親切心、誠実な、感謝の気持ちの大切さ、また相手を理解しようと努めることの大切さがわかりやすくて良かったです(^-^)
「摩擦を恐れず…」の摩擦がいいなぁと。孤独を恐れずとか、一人を恐れずとかだと、まりちゃんにはまだ重いかなぁと思うので^ ^

良くないと思うところ

緑川さんのキャラ、抑揚というか、もっとはっちゃけた場面があると活かされるような気がします(^^)バスケゴール決めたとき、卓球でいう「チョレイ‼︎」(笑)みたいな。

Shiho☆
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コメントの評価

 著者からの返事

感想ありがとうごさいます。
レインボーイズは後半に出てくる人ほどキャラが強くないとダメだと思うのでさらに魅力を高める方向で考えてみます

2018年3月3日 7時35分 水野敬也
水野敬也
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