仕事幸福真理―成功と幸福の秘密を知ったアイドル

真理―成功と幸福の秘密を知ったアイドル 第6話-2

 と、突然ボールが視界から消え、山Pは私の背後に移動した。

 股の下にボールを通されたのだ。

 フリーになった山Pはそのままゴールに向かってドリブルしていく。

 桃瀬さんをマークしていた緑川くんが山Pのガードに向かった。しかし焦った赤音さんもガードに入り、その状況を見た山Pはパスを出した。

 ボールを受け取ったのは橘さんだ。立っているのは2ポイントラインの向こう側だ。

 橘さんが飛び上がった。

 その動きはまるでスローモーションの映像を見ているかのように映り、橘さんは相変わらずの美しい姿勢でシュートを放った。

 しかし、その瞬間、ものすごいスピードで何かが向かっていき、橘さんの手から離れたボールを地面に叩き落としてキャッチした。

 それをしたのが緑川くんだと分かるまで、少し時間がかかった。

 着ている服は同じだけど、先ほどまでのさらさらした髪の毛が逆立っていて、目つきもまったく変わっていたからだ。

 「やっとかよ」

 赤音さんが笑いながら緑川くんに近づいた。

 「お前が全然このモードにならねぇから冷や冷やした――」

 そう言いながら肩に置こうとした手を緑川くんがつかんだ。

 「赤音」

 甲高かった声色が低くなり、猛烈な威圧感を放っている。

 「お前は、自分の力を誇示することと試合に勝つこと、どっちが大事なんだ?」

 赤音さんは戸惑いながら言った。

 「そ、そりゃ試合に勝つことだろ」

 「だったら」

 緑川くんは持っていたボールを赤音さんの胸に勢いよく押し込んで言った。

 「お前の動きは、合ってるのか?」

 赤音さんはふてくされたような表情をしたが何も言い返さなかった。

 「真理」

 緑川くんに名前を呼ばれ、

 「はい」

 と背筋を伸ばして返事をした。

 緑川くんは言った。

 「お前、本気でアイドルになりたいと思ってるのか?」

 「思ってるよ」

 「だったら本気でやれ」

 「わ、私、本気でやってるよ。でもみんなみたいにバスケ上手くないし……」

 「上手い下手は関係ない」

 緑川くんは続けた。

 「アイドルもチームプレイだろ。今、自分がチームのために何ができるか本気で考えろ」

 (チームのためにできること……)

 私は自分に何ができるのか考えようとしたが、山Pの言葉にさえぎられた。

 「お前たちのタイムアウトは残っておらん。早く試合を再開せんか」

 私たちが配置につくと、相手チームはこれまでと同じように緑川くんに2人のマークをつけた。

 チームのために何ができるのか結論は出ないままだ。ただ、私は、無我夢中で叫んだ。

 「あと9点! がんばっていこー!」

 その言葉を口にした瞬間、(急に声を出したから観客席で笑われてるかも)と不安になったけど、赤音さんは親指を立てて応えてくれた。そして赤音さんは大きく息を吐き出し、腰を低くして構えた。

 試合再開のホイッスルが鳴ると同時に、赤音さんが動いた。

 しかしこれまでのように強引に抜こうとするのではなく、細かいフェイントを入れ、私にパスを回した。

 私とゴールの間には誰もいない。

 シュートを決める自信はないけれど、攻める姿勢を見せなければ相手の配置を崩すことはできない。

 私はドリブルで進んでいきゴールに向かってシュートをした。

 しかしボールは反射板に当たって跳ね返った。

 そのボールに飛びついたのは、桃瀬さんと赤音さんだった。

 身長の高い桃瀬さんはジャンプ力もあり、二人の差は本当にギリギリだったけど、ボールを取ったのは赤音さんだった。

 赤音さんは着地をするとそのまま私にパスを出して言った。

 「もう一回!」

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REVIEWS

評価

12345

良いと思うところ

水野先生の小説だから、面白くなるというお墨付きです。逆に言えばそう思わない人は読むのを止めてしまうかもしれません。

一週間毎更新になったのもいいと思います。

良くないと思うところ

完成したらきっと面白い作品になるでしょう。

ただ、連載している以上は、新聞小説のように、一話一話をもっと面白く、次への興味をもっと引いた方がいいと思います。

レインボーズが人数多くて、覚え切れない、登場した時イメージできないので面白くなくて、興味が薄れています。

自分で登場人物表を作るなどすればいいのかもしれませんが、読者は努力などせずただ楽しみたいだけなのでは?!!

かおり
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コメントの評価

 著者からの返事

今回のレインボーイズ緑川くんの登場が受け入れられてない感想が多いのですごく大事な指摘だと思っています。
これは本当に恐縮なのですが、全員が出て、前編と後編が終わった時点で、
「レインボーイズとのアトラクションを楽しむ」という軸がアリなのかナシなのか(かつ、ラノベのようにたくさんイラストが出てくるとして)感想頂けたらうれしいです。

2018年3月1日 11時25分 水野敬也
水野敬也
評価

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良いと思うところ

チーム、仕事仲間への親切心、誠実な、感謝の気持ちの大切さ、また相手を理解しようと努めることの大切さがわかりやすくて良かったです(^-^)
「摩擦を恐れず…」の摩擦がいいなぁと。孤独を恐れずとか、一人を恐れずとかだと、まりちゃんにはまだ重いかなぁと思うので^ ^

良くないと思うところ

緑川さんのキャラ、抑揚というか、もっとはっちゃけた場面があると活かされるような気がします(^^)バスケゴール決めたとき、卓球でいう「チョレイ‼︎」(笑)みたいな。

Shiho☆
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コメントの評価

 著者からの返事

感想ありがとうごさいます。
レインボーイズは後半に出てくる人ほどキャラが強くないとダメだと思うのでさらに魅力を高める方向で考えてみます

2018年3月3日 7時35分 水野敬也
水野敬也
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