(イラスト)
肩までかかるような長い髪にふわふわした紫色の服を着ているのがかろうじて分かる。
(な、何なの? こういう人形一時期流行ったけど、完全にしゃべってるし!)
呆然と眺めていると彼は言った。
「僕の名前は紫堂光。レインボーイズ、7人目の男さ」
そして彼はわざとらしい仕草で長い髪の毛をかきあげると言った。
「この僕に会えるとは、子猫ちゃん、君は本当にラッキーだね」
なんかこのちっちゃい人、雰囲気超ウザい――。
どう反応して良いか分からずやはり眺めていることしかできなかったが、紫堂はフッと笑って言った、
「分かるよ。僕の美しさに見とれて言葉を失ってしまっているようだね。まあそれも無理はない。なぜなら僕はレインボーイズの中でも滅多に出現しないレアキャラ……わっ、わっ!」
彼はレアキャラと言うとき大げさに髪をかきあげようとして体勢をくずし、野菜ジュースの中に墜落した。
「た、たすけグブォッ……」
――紫堂は泳げないようだった。
彼の動きが面白かったのでしばらく様子を見ていると、
「お、おい、早くして……」
いよいよ本格的に沈み始めたのでストローを使って紫堂を助けた。
紫堂をつまみ上げてテーブルの上に降ろすと、彼はまるで海から上がったサーファーのように首を振って髪をかきあげた。
(いや、あんた全然泳げてなかったから――)
紫堂は上着を脱いで水気を絞ると、自分の上半身をグラスに映し、結構な時間自分の体に見とれたあと、振り向いて言った。
「野菜ジュースで体がベタベタだ。子猫ちゃん、ウォータープリーズ!」
紫堂が水の入ったグラスを指さしたので、私はグラスからストローを取り出し、水の中に入れて人差し指の腹を飲み口につけた。
そして紫堂の頭上で人差し指を離すとストローから水が流れ出した。
紫堂はその水で髪と体を洗うと、紙ナプキンを指して言った。
「タオルを」
紙ナプキンを一枚取ると、紫堂は体を拭きながら、テーブルに備え付けられている砂糖の小袋を指して言った。
「砂糖の位置を調整して、ちょうどいい感じのリクライニングチェアは作れるかな?」
(マジなんなんだこいつ……)
私はストローを使って野菜ジュースをもう一度頭からかける準備を始めたけど、紫堂は焦って言った。
「そ、そんなことしていいのかい子猫ちゃん。僕以外のレインボーイズはもういないんだろ?」
その言葉を聞いてハッとした私は手を止めて思った。
(もしかしたら紫堂は山Pとレインボーイズがどうなったのか知っているのかもしれない)
仕方なく砂糖の位置を整えてリクライニングチェアを作ってやると、紫堂はそこに寝そべって言った。
「腰の部分のカーブがもう少しほしかったけど、まあ良いや。次は、爪楊枝を使ってパラソルを……ぐえっ」
私は、紫堂の腹に人差し指を突き立てて言った。
「ねえ、山Pと他のレインボーイズたちはどうなったの?」
すると紫堂は、
「たまに牙をむく子猫ちゃんも嫌いじゃな……」
話している途中で爪楊枝を腹に向けると「ちょ、真理さん、それ、マジで致死するやつですから」と言って話始めた。
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評価
良いと思うところ
最後のレインボーズが、ちっちゃかったという意外性。
良くないと思うところ
次に楽しいことが起きるんだろうとは思うけど、この回はあまり面白くないし、理屈っぽい。
2018年4月16日 19時58分 かおり1人がこのコメントに「いいね!」しました
コメントの評価
著者からの返事
感想ありがとうございます!確かに、もっと笑いがあって良いような気がします!!!
2018年4月17日 15時54分 水野敬也評価
良いと思うところ
山Pとレインボーイズにもう会えないのかと思っていたところに新たなメンバー登場で嬉しかった!
キャラもレインボーイズの中で一番好きです笑
個人的にも真理ちゃんと同じ悩みを抱えているので、次のお話がすごく楽しみです!
良くないと思うところ
特にありません。
anmo早く続きが見たいです!
1人がこのコメントに「いいね!」しました
コメントの評価
著者からの返事
感想ありがとうございます。最後のレインボーイズなので意外性と、キャラ立ちをさらに深めてみます!
2018年4月17日 15時54分 水野敬也評価
良いと思うところ
小さいレインボーイズ(笑)が登場するまでの流れがとても自然で感心しました^ ^まりちゃんの新たな不安をさらに掻き立てる彩花ちゃんの場面など。
『課題』の変化、世の中の変化の話しのところは諸行無常を分かりやすく、成熟していると勘違いしている、考え方を変えようとしない大人への警鐘にも…とれました。栄光やいい結果を出せたことがあったとして、それが全てと課題に向き合おうとしないなんて成長も無いですし。
まりちゃんの信念を確かめたり、小さい(レインボーイズ)のに核心をつく、とても大きな役割を、教えをしてくれて良かったです‼︎キャラも面白いです(*^▽^*)いじわるしたくなる(笑)
良くないと思うところ
サイードが、、、職場にもう戻れないだろうけれど、無断でで無くて、いきなりやめちゃったが卑怯感無くていいかなぁなんて、細かいのですが思いました。サイードいい人だし…
Shiho☆1人がこのコメントに「いいね!」しました
コメントの評価
著者からの返事
感想ありがとうございます。確かにサイードの格が下がるという点では問題があるかもしれません。ただ機械の故障的に突然消えたとなると、、、サイードは「あんなに苦しんでいたのに一度も休まなかったサイードが」とすべきですね。ありがとうございます
2018年4月17日 15時56分 水野敬也